認知症を思う(2)
認知症の方の中核症状として、代表的なものに記憶障害があります。特に短期記憶がなくなります。私はいつも夜事務仕事をしています。時には急ぐ仕事もあります。そんな時いつも認知症の女性が事務所に来られます。「私何がなんやらぜんぜん分からんようになりよんよ。どうならい。家に連れに来てくれるように連絡してくれる。」「分かりました。明日来るように言いますよ。」このようなやり取りをして、10分後また同じ事を訴えに事務所に来られます。毎日1時間から2時間程度、同じやり取りが続きます。私は出来るだけ毎回、初めて聞くような態度で接します。いつも認知症の方の世界に入ってお話をするように努力しています。ただ確かにかなりの忍耐が必要です。凡人の私は、いつも自分と闘っています。時々自分に負けて、いい加減な返答をする時がたまにあります。自分の弱さを思い知らされます。ただ、自分と闘える機会を与えてくれるからこそ認知症の方々は私を人として成長させてくれるのだと、最近思えるようになりました。1日も早く本物の福祉人にしていただけるよう感謝の気持をもって、認知症の方々と接している今日この頃です。