運動会(雨天にも関わらず挙行)

爽快な秋の風景を表現する季語に、秋晴れ・秋日和・秋高し・秋の空などがあります。そのなかでも「秋晴れ」は、空に視点を置いていて、さわやかな澄んだ空気と空の青色の印象を強く残します。「天高く 馬肥ゆる秋」と言われるような秋晴れの下、去る10月13日の金曜日に「デイサービスこもれび」の大運動会が挙行されました。と言いたいところですが、あいにく雨模様でした。「やはり13日の金曜日か。」と一瞬脳裏に暗闇が漂いました。ただ、よく考えてみると、当初から室内での予定でした。雨が降ろうが、やりが降ろうが関係なく運動会は決行でした。運動会が始まりました。「デイサービスこもれび」の職員、別名「錬金術師」(その辺の鉄くずを金に変えることができる人間)が、いつもの常軌を逸した声援で、利用者の方々のアドレナリンを引き出していました。しかし、いくら職員が上手く乗せてしまうと言っても、大正二桁及び昭和一桁生まれの方々は、どうしてあそこまで熱くなれるのでしょうか。見ているこちらの方が、焼け付くほどの熱気でした。戦前・戦後を生き抜いてこられた逞しいご利用者様と、いついかなる時でも、思うがままに狂喜乱舞できる錬金術師(ペテン師ではありません。詐欺師でもありません。)の「こもれび」の職員が一体化し、恐るべきパワーを放出していました。熱く熱く灼熱の太陽のようでした。宇宙の始まりの爆発、そう あのビッグバンのような衝撃でした。老若男女、老いも若きも入り乱れた集団が、ブラックホールのように私の生気を吸い取っていきました。私はもう一度「13日の金曜日」と、思わず口ずさんでいました。しかし、よく考えてみると、私は仏教徒でした。家は真言宗です。キリスト教に関係する「13日の金曜日」とは無関係でした。運動会に話を戻します。今年の「デイサービスこもれび」の運動会の熱気は、すさまじい物でした。今、思い出しただけでも身の毛がよだつほどです。背筋に戦慄を覚えます。それほどの熱気でした。ただ、ご利用者様の表情には、何とも言えない充実感が漂っていました。笑顔も絶えませんでした。ほどよい集中力もありました。これぞ「マインドフルネス」、と言わんばかりの眼差しがありました。私の長い福祉生活の中で、最も完成度の高い運動会でした。気持ちは高ぶっているのに、心には安定感がある。動と静、乱と平、緊張と弛緩、本当に不思議な世界でした。ご利用者様並びに職員の皆様、今日は本当にご苦労様でした。このような心地よい時間を与えて頂いたことと、夢のような幻想的空間にお連れ頂いたことを心より感謝いたしております。

 

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