高齢者福祉の充実と一抹の寂しさ!
2000年(平成12年4月)に介護保険制度が導入され、高齢者福祉も措置制度から契約制度に移行されました。措置制度の下では、行政が福祉サービスを受ける要件を満たしているかを判断し、そのサービスを決定するという施しの感が否めませんでした。確実に、現在の介護保険制度における各種サービスよりも、措置制度時の福祉サービスの方が劣悪だったように記憶しております。福祉施設の職員においても措置制度の時代は、上から目線で福祉サービスに対する意識も低かったように思います。高齢者福祉も契約制度に移り、契約したサービス内容は、必ず履行されるようになりました。高齢者はお金を支払い、その対価として福祉サービスを受けるシステムになりました。それにより、高齢者の方々は権利意識に目覚め、またその権利も守られるようになりました。措置制度における福祉サービスよりも現在の介護保険制度における福祉サービスの方が間違いなく質・量とも向上しました。高齢者の方々の人権も守られるようになったのではないかと思います。ただ、措置制度時代の福祉施設には、どの施設にも1人か2人程度眼光鋭く、暑苦しいオーラを放っている職員がいました。彼らからは利用者の方々の人権は、絶対に自分が守るんだという熱と気迫が感じられていました。介護保険制度導入以来、そのような人物が少し減ったような気がしてなりません。高齢者福祉が充実してきたのだからそれで良いんだと思いながらも、一抹の寂しさも感じています。私はいつまでも熱い気持ちを忘れず、「自らの身体を犠牲にし、己の命を擦り減らしながらも前に向いて進む。」そんな福祉を実践して人生を終えたい。62歳になりそんな思いに駆られています。