「愛別離苦」の苦しみ。自然の摂理に反した「死」

梅雨入りが宣言されました。これからうっとうしい日々が続きます。梅雨の時期は、じっとりと曇った空や降り続く雨が、人を重苦しい気持ちにさせるものです。そこに「青」という若さを意味する一文字が加わることにより、さわやかな印象が表現されます。「青梅雨」(あおつゆ)という言葉です。雨を受けた木々や草は、なお鮮やかに緑を増したように見えます。さて、「デイサービスこもれび」に話を移します。今、娘さんを亡くされた90歳の女性がデイサービスを休まれています。もう一か月が過ぎようとしています。おそらく四十九日までは休まれることと思います。他の女性で94歳になられる方が3か月ほど前に息子さんを亡くされました。1か月後、憔悴しきった表情でデイサービスに来られました。家族の方が、「家に1人でいたら心配だから。」と必死で説得されたそうです。「受容と共感」が福祉の基本と思いながらも、事柄のあまりの重さに共感することさえためらいがあったことも事実です。お釈迦さまも言われている四苦八苦の一つ「愛別離苦」のうち最も苦しいものだと思います。自然の摂理に反した「死」、母親の悲しみはいかばかりか、想像することさえできませんでした。ただし、このような「死」は超高齢社会においては今後、避けて通ることのできない出来事だと思います。このようなケースでは、おそらくその悲しみを解消してくれるのは「時の流れ」だけではないかと思います。ただ、介護事業に携わる者として何かできないだろうかと熟考した時、すべてを受容し共感しながら「黙して寄り添う」。これしかないと思います。そして、それがベストな方法だと思います。私は、この女性(利用者様)に坂村真民さんの詩集を一冊プレゼントしました。自宅に居られる時は、いつも読まれているそうです。その女性は「この本のような生き方をいつもしたいと思いよんじゃけど。」とおっしゃっていました。優しいの「優」の字は、「憂い(悲しみ)を持ている人」と書きます。このご利用者様は、今、通り過ぎようとしている「悲しみの長いトンネル」を抜けた時、真の優しさを身に付けられていることと確信しています。

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